病原体名 Chromatiaceae科(光合成細菌)
分類学 真正細菌、プロテオバクテリア門、クロマチウム目
宿主名 ボラ(Mugil cephalus
肉眼所見 死亡したボラの体表が、赤いペンキを塗ったように見える(写真1)。
細菌学 死亡魚の体表に増殖していた細菌は、桃色で大きさ約2×3-6 μm。運動性を持ち、球形から円筒形など形態変化に富む。菌体内部には大型の顆粒を数個から10個程度内蔵している(写真2)。これらの形態的特徴は、クロマチウム科(Chromatiaceae)の光合成細菌Chromatium minusに類似している。
病理学 未報告
人体に対する影響 人間には感染しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 体表から細菌を採取し、顕微鏡で観察する。
その他の情報 生活排水等の流入による水質汚濁と長期間雨が降らなかったことが重なって、溶存酸素がほとんど皆無になった川で発生した。全滅した数百尾のボラの中に赤いペンキを塗ったような個体が散見されただけでなく、川底の枯れ枝等の表面も赤変していた。なお、上記のような現象は降雨の後直ちに消失した(桃山・天社, 2006)。
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4号(別刷), 143-161.

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写真1.体表が赤変したボラ

写真2.ボラの患部から採集された菌体

(写真提供者:桃山和夫)