写真1.マダイ筋肉にみられた被嚢

写真5.虫卵

寄生虫名 Gonapodasmius okushimai(マダイ奥島吸虫)
分類学 扁形動物門、吸虫綱、ディディモゾーン科
宿主名 マダイ(Pagrus major
寄生部位 体側筋肉
肉眼所見 外観的な異常は見られない。体側筋肉内に黄褐色で大きさ数cmの楕円形または不正形の袋(被嚢)が見られる(写真1)。その中には、黄色でひも状の虫体が折りたたまれるように存在する(写真2)。
寄生虫学 虫体は成虫であり、常に雄雌1組が存在する。非常に長い円筒形の体を持ち(写真34)、体長は数10 cmから、雌では数mになるとの報告もある(Ishii, 1935)。虫体の内部は卵で充満しており(写真5)、虫卵の大きさは長径38-43(平均40.2μm、短径15-1917.1μm
病理学 未報告
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 被嚢内の虫体を確認する。
その他の情報 愛媛県高浜近海で採捕されるマダイには、俗に「きくいダイ」と呼ばれて生食を避けられる異常魚が知られており、その筋肉内には本虫のシストが数個から数10個形成されていることがある。このような異常魚は春夏に多く、冬になると少なくなる傾向が見られたという(中島ら, 1974)。
参考文献 Ishii, N. (1935): Studies on the family Didymozooidae (Monticelli, 1988). Jap. J. Zool., 6, 279-335.

中島健次・杉山瑛之・江草周三
(1974): マダイの筋肉内に虫竃をつくる吸虫Gonapodasmius okushimai Ishii, 1935. 魚病研究, 8, 175-176.
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写真4.円筒形の虫体

(写真提供者:桃山和夫(2,3,4,5))

写真3.マダイから取り出した虫体

写真2.ひも状の虫体