写真1.鰓の貧血と粘液分泌過多
写真5.鰓弁の棍棒化、鰓上皮の剥離
または
写真2.動脈球の肥大
寄生虫名 | Henneguya lateolabracis(ヘネガヤ・ラテオラブラキス) |
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分類学 | ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、双殻目 |
宿主名 | タイリクスズキ(Lateolabrax sp.) |
病名 | 心臓ヘネガヤ症 |
寄生部位 | 心臓 |
肉眼所見 | 外観的には、食欲不振、緩慢遊泳を呈して死亡する。病魚は鰓の貧血、粘液分泌過多(写真1)、心臓の炎症と肥大(写真2)、内臓の貧血などが特徴的である。 |
寄生虫学 | 鰓を顕微鏡下で観察すると、大量の胞子が鰓弁毛細血管内に充満している(写真3)。胞子は卵形で2個の極嚢を持ち、尾端突起を有する(写真4)。胞子体の長さ9.9〜11.9(平均10.7)mm、幅6.4?7.8(7.5)mm、厚さ5.9?6.4(6.2)mm。極嚢の長さ3.0〜4.0(3.4)mm、幅1.5?2.0(1.7)mm。尾端突起の長さ30.7〜49.5(平均37.7)mm。生活環は不明。中間宿主の介在が推測される。 |
病理学 | 本寄生虫は心臓の動脈球組織内で胞子を形成後、大量の胞子が鰓弁内に流入して毛細血管の閉塞、充血、鰓弁の棍棒化、鰓弁上皮の剥離等をもたらす(写真5)(Yokoyama et al., 2003)。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 鰓弁をつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する。 |
その他の情報 | 養殖種苗として中国から輸入されたタイリクスズキに発生した。当初この寄生虫は、輸入種苗に伴って持ち込まれた外来病原体ではないかと疑われたが、国内で生産された人工種苗でも寄生が確認されたことから、もともと日本に分布していた寄生虫の可能性もある。発病は、種苗導入年の12月から翌春6月頃まで見られ、慢性的に死亡が継続する。有効な治療法はないが、発症ピーク時には給餌量を少なめにし、良好な飼育環境を保つことで酸欠による死亡を抑えれば、胞子が放出し尽くされて自然治癒する可能性がある。 |
参考文献 | Yokoyama, H., H. Kawakami, H. Yasuda and S. Tanaka (2003): Henneguya lateolabracis sp. n. (Myxozoa: Myxosporea), the causative agent of cardiac henneguyosis in Chinese sea bass Lateolabrax sp. Fish. Sci., 69, 1116-1120. |
写真3.鰓弁毛細血管内に詰まって見える胞子
写真4.H. lateolabracisの胞子
(写真提供者:小畑晴美(1,3))