寄生虫名 | Lepeophtheirus salmonis(サケジラミ) |
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分類学 | 節足動物門、甲殻亜門、カイアシ亜綱、ウオジラミ目 |
宿主名 | タイセイヨウサケ(Salmo salar)、サケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)等、サケ科魚類 |
病名 | サケジラミ症 |
寄生部位 | 体表 |
肉眼所見 | 体表、とくに尻鰭基部や頭部に付着寄生している(写真1)。 |
寄生虫学 | 外部寄生性の甲殻類で、虫体のサイズは1 cm前後である。雌成虫は後端に一対の長い卵嚢を持つ(写真2)。卵から孵化したノープリウス幼生(2期)が自由生活を経て魚への感染期であるコペポディド(1期)となる。宿主魚に寄生した後、カリムス幼生(4期)が前成虫(2期)に変態して体表を移動し、成虫(1期)になる(Johnson and Albright, 1991)。寄生期の虫体は宿主の体表組織や粘液を摂食する。 |
病理学 | 多数寄生により体表の損傷や出血が起こり、ひどい場合には筋肉が露出するほどの患部を形成する。また、病原菌の二次感染をもたらすこともある。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 成虫の形態によって同定する。近縁のカリグス属とは前端にルヌルを欠くことで容易に識別できる。 |
その他の情報 | 欧米のタイセイヨウサケ養殖では最も重要な疾病であるため、よく研究されている。対策として、駆虫薬の使用、感染環の遮断、掃除魚の導入などを組み合わせることが推奨されている(Pike and Wadsworth, 2000)。一方、日本では東北地方のギンザケ養殖で軽度の寄生がみられるものの、ほとんど問題にならない。 |
参考文献 | Johnson, S. C. and L. J.
Albright (1991): The developmental stages of Lepeophtheirus salmonis (Kroyer, 1837) (Copepoda: Caligidae). Can J. Zool., 69, 929-950.
Pike, A. W. and S. L. Wadsworth (2000): Sealice on salmonids: Their biology and control. Adv. Parasitol., 44, 233-337. |
写真2.サケジラミ虫体。雌成虫(右から二番目)に
顕著な卵嚢が見られる。
または
写真1.尻鰭の基部に寄生しているサケジラミ