寄生虫名 | Longicollum pagrosomi(クビナガコウトウチュウ) |
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分類学 | 鉤頭動物門、古鉤頭虫綱、鉤頭虫目 |
宿主名 | マダイ(Pagrus major)、トラフグ(Takifugu rubripes) |
病名 | クビナガ鉤頭虫症 |
寄生部位 | 直腸 |
肉眼所見 | 通常、外観的な異常は見られない。ただし、重症魚では脱腸、腹部膨満および肛門周辺の発赤を呈することがある(写真1)。剖検的には、10-20 mm程度の虫体が直腸に寄生しているのが観察できる。(写真2)。 |
寄生虫学 | 虫体は10-20 mmで、吻部、頸部および胴部からなる(写真3,4)。宿主の直腸組織に吻部から頸部までを穿入させて寄生する。雌雄異体で、雌は内部に胚を有する楕円形の卵を産む。虫卵は中間宿主の体内で孵化、成長し、被嚢した幼虫(シストアカンス)となる。一般に魚類を終宿主とする鉤頭虫は甲殻類を中間宿主とするが、L. pagrosomiの場合は端脚類のワレカラ類やヨコエビ類が中間宿主となることが実験的に確かめられている(Yasumoto and Nagasawa, 1996)。 |
病理学 | 大量寄生すると成長不良になるといわれる。また、まれに重症魚では腹部膨満および脱腸を起こして死亡することもあるという。病理組織学的には、直腸組織の壊死や炎症反応が多く観察される。また、寄生虫の穿入部分が宿主の結合組織などに取り囲まれて肉芽腫を形成する(畑井ら, 1987)。 |
人体に対する影響 | 魚類を終宿主とするので、人間には寄生しない。 |
診断法 | 直腸周辺に寄生する虫体は、肉眼で容易に観察できる。 |
その他の情報 | 生け簀網に付着する端脚類が中間宿主となりうることから、養殖場でしばしば大量発生する。そのため、本症への対策としては、網の交換や洗浄によって養殖生け簀の付着生物を駆除することが効果的であると考えられる。 |
参考文献 | 畑井喜司雄・堀田 和・窪田三朗 (1987): 養殖マダイのクビナガ鉤頭虫症の病理組織学的研究.
魚病研究,
22, 31-32. Yasumoto, S. and K. Nagasawa (1996): Possible life cycle of Longicollum pagrosomi and acanthocephalan parasite of cultured red sea bream. Fish Pathol., 31, 235-236. |
写真3.マダイの腸内にみられたクビナガ鉤頭虫。
写真4.腸から摘出されたクビナガ鉤頭虫。
写真1.マダイの直腸が膨満している。
写真2.直腸内のクビナガ鉤頭虫の塊。
または