寄生虫名 Microsporidium sp.(ミクロスポリジウム)
分類学 微胞子虫門、微胞子虫綱、微胞子虫目
宿主名 クルマエビ(Penaeus japonicus
寄生部位 外骨格下結合組織、神経組織
肉眼所見 外骨格下の結合組織に微胞子虫の白いシスト集塊が形成されるため、その患部はふくらんで見える(写真1)。
寄生虫学 シスト内部に多数の胞子が形成される(写真2)。胞子は卵円形で、長さ約3.9μm、幅約2.0 μm。クルマエビ類に寄生する既知の微胞子虫とは寄生部位が異なるため、新種である可能性が高い。
病理学 病理組織学的な検討はされていない。稚エビにおいて、被寄生個体の死亡率が非寄生個体よりも高かったという報告がある(桃山・天社, 2006)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてUvitex 2B染色し、蛍光顕微鏡で観察する。染色された胞子は、紫外光で青い蛍光を発する。
その他の情報 神経組織に寄生するため、宿主に対する害作用が大きい可能性があるが、被寄生個体の刺激に対する逃避行動はそれ程緩慢ではない(桃山・天社, 2006)。
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4号(別刷), 143-161.
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または

写真1.背側の外骨格下に白いシストが形成されている
クルマエビ

写真2.クルマエビのシストから見られた微胞子虫

(写真提供者:桃山和夫)