寄生虫名 Myxobolus nagaraensis(長良ミクソボルス)
分類学 ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、双殻目
宿主名 トウヨシノボリ(Rhinogobius sp. OR)、カワヨシノボリ(Rhinogobius flumineus)、シマヨシノボリ(Rhinogobius sp. CB
寄生部位 腹腔(腎臓被膜内)、尾柄
肉眼所見 罹患魚は、腹部膨満および尾柄部の膨隆を呈する(写真1)。剖検的には、寄生部位に白色シストの集塊形成が見られる(写真2)。
寄生虫学 シストの内部で多数の胞子が産生される(写真3)。胞子は卵型で長さ10.5-13.5(平均11.9mm、幅8.0-10.09.0mm、厚さ6.0-7.06.5mm2個の極嚢の長さ4.5-6.05.5mm、幅2.5-4.03.0mm。生活環は不明。中間宿主の介在が推測される。
病理学 感染初期、寄生虫は腎臓被膜内で発育を始める。シストの成長に伴って他の内臓諸器官を圧迫し、腹腔内に充満する(Yokoyama et al., 2007)。尾柄部の膨隆はまれにしか観察されない。本寄生虫の宿主魚に対する病害性については不明である。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 診断には、シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する
その他の情報 岐阜県長良川のいくつかの支流に生息するヨシノボリ類から見つかっているが、他の河川水系に分布しているかどうかは明らかでない。
参考文献 Yokoyama, H., T. Kageyama, K. Ohara and T. Yanagida (2007): Myxobolus nagaraensis n. sp. (Myxozoa: Myxospora) causes abdominal distension of freshwater goby Rhinogobius sp. OR type from the Nagara River. Fish. Sci., 73, 633-639.

写真2.病魚の剖検。腹腔内に充満したシストと
尾柄の患部が顕著。

写真1.重篤寄生したヨシノボリの背側の外観。

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写真3.M. nagaraensis の胞子

(写真提供者:景山哲史(1,2))