寄生虫名 Nectonema sp.(オヨギハリガネムシ)
分類学 類線形動物門、ハリガネムシ綱、オヨギセンチュウ目
宿主名 ケガニ(Erimacrus isenbeckii
寄生部位 体腔内
肉眼所見 外観的な症状はない。甲羅を剥がすと、体腔内に虫体がとぐろを巻いて観察される(写真1)。
寄生虫学 虫体の大きさは、太さ1.0-1.5 mm、長さ150 mm程度(写真2,3)。オヨギハリガネムシ類は、幼虫期にはエビ・カニ類に寄生し、成虫になると自由生活を行う。
病理学 本虫については未報告だが、ニュージーランドのイソガニ類に寄生する、本種と近縁種のNectonema zealandicaでは、宿主への病害性は確認されていない(Poinar and Brockerhoff, 2001)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 甲羅をはずして体腔内の虫体を確認する。
その他の情報 活カニとして販売されていたものについて、購入者からのクレームがつき問題となった。類似の寄生虫が、釧路で漁獲されたケガニから報告されており(Oku et al., 1983)、本寄生虫と同種ではないかと考えられる。
参考文献 Oku, Y., S. Fukumoto, M. Ohbayashi and M. Koike (1983): A marine horse worm, Nectonema sp. parasitizing atelecyclid crab, Erimacrus isenbeckii, from Hokkaido, Japan. Jpn. J. Vet. Res., 31, 65-69.

Poinar, G. and A. M. Brockerhoff (2001): Nectonema zealandica n. sp. (Nematomorpha: Nectonematoidea) parasitizing the purple rock crab Hemigrapsus edwardsi (Brachyura: Decapoda) in New Zealand, with notes on the prevalence of infection and host defence reactions. Syst. Parasitol., 50, 149-157.

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写真3.ハリガネムシの拡大写真

(写真提供者:佐藤智香子)

写真2.ケガニから取り出したハリガネムシ

写真1.ゆでたケガニの体内に見つかったハリガネムシ