または

写真3.ニベリン条虫幼虫の標本。

寄生虫名 Nybelinia surmenicola(ニベリン条虫)
分類学 扁形動物門、条虫綱、四吻目
宿主名 スケトウダラ(Theragra chalcogramma)、スルメイカ(Todarodes pacificus)など
寄生部位 腹腔内、外套腔内、筋肉
肉眼所見 外観的な異常は見られない。解剖すると、腹腔内や腹膜に乳白色で米粒状の虫体が見られる(写真12)。
寄生虫学 魚類やイカ類に寄生しているのはプレロセルコイド幼虫であり、宿主組織に被包されている。虫体の大きさは5-10 mm程度で、前端に4本の吻をもつ(写真3)。吻には、らせん状に巻いた鉤状構造が備わっており、固着器としての役割を持つ。真正中間宿主はオキアミ類、魚類は延長中間宿主、終宿主はネズミザメである(嶋津, 1975)。なお、学名の種小名は、surmeni(スルメの)+ cola(住人)を意味する。
病理学 魚に対する病害性はほとんどないと考えられる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので食品衛生上の問題はない。まれに、吻がヒトの喉に引っかかる事例がある。しかし、ピンセットで簡単に除去できる。
診断法 頭部に4本の吻があることが四吻目の形態的特徴である。
その他の情報 寄生強度が高いわりに病害性が低いことから、宿主魚の系群識別をするための生物指標として利用されることが多い(Blaylock et al., 2003)。
参考文献

Blaylock, R. B., L. Margolis and J. C. Holmes (2003): The use of parasites in discriminating stocks of Pacific halibut (Hippoglossus stenolepis) in the northeast Pacific. Fishery Bulletin, 101, 1-9.

嶋津 武(1975):ニベリン条虫の成虫と生活史について(Cestoda: Trypanorhyncha: Tentaculariidae)。日本水産学会誌、41、823-830.

(写真提供:小川和夫)

写真1.スケトウダラに寄生するニベリン条虫(矢印)。
肝臓にみられるのはアニサキス。

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写真2.スルメイカに寄生するニベリン条虫(矢印)