寄生虫名 Kudoa sp.
分類学 ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、多殻目
宿主名 ミズダコ(Paroctopus dofleini
寄生部位 腕筋肉内
肉眼所見 腕の中心部分の筋肉が融け、空洞ができる(写真1)。
寄生虫学 融解した宿主の筋肉組織内に胞子が見られる(写真2)。胞子は4個の極嚢を持ち、6-8 μm。極嚢の大きさは平均2.5×1.5 μm。生活環は不明。中間宿主の介在が推測される。
病理学 筋肉融解は寄生虫が分泌する酵素によって引き起こされると考えられる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 融解した筋肉組織をつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する。
その他の情報 ミズダコをゆでたところ、腕の基部が異様に柔らかくなったことから見つかった。タコ類に寄生する粘液胞子虫は本種以外に知られていない(Yokoyama and Masuda, 2001)。
参考文献




Yokoyama, H. and K. Masuda (2001): Kudoa sp. (Myxozoa) causing a post-mortem myoliquefaction of North-Pacific giant octopus Paroctopus dofleini (Cephalopoda: Octopodidae). Bull. Eur. Ass. Fish Pathol., 21, 266-268.
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写真1.Kudoaの寄生により筋肉が溶けたミズダコ(左)

または

写真2.患部から検出されたKudoaの胞子

(写真提供者:増田恵一)