(写真提供者:桃山和夫)

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または

写真1.ヒジキムシ(矢印)の寄生を受けたトラフグ

写真2.トラフグから取り出した虫体(上は成虫、下は
未成熟虫)。

寄生虫名 Pennella sp.(ヒジキムシ類)
分類学 節足動物門、カイアシ亜綱、ペンネラ科
宿主名 トラフグ(Takifugu rubripes
寄生部位 体表
肉眼所見 体表に寄生している虫体が肉眼で観察できる(写真1)。
寄生虫学 明らかに大きさの異なる3群が観察され、宿主内に埋没した頭部(いずれも4-5 cm)を除いた体長の平均は、大で7.5 cm、中で5.4 cm、小では3.4 cmであった(桃山・天社, 2006)。虫体の色は、大および中の群では黒色であったが、小では赤色であった(写真2)。これらが全て同種であるかは不明である。
病理学 頭部周辺の宿主筋組織が発赤して炎症を起こしている場合が多く、宿主に対してある程度の害作用を持つと思われる。また、頭部が肝臓にまで達している例もみられた(桃山・天社, 2006)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 体表上の虫体を確認する。
その他の情報 山口県南風泊魚市場における聞き取り調査によると、本虫は徳島県以東の太平洋海域で漁獲された天然トラフグに多く、日本海や東シナ海のものでは見られないという(桃山・天社, 2006)。
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4号(別刷), 143-161.