寄生虫名 Philometroides seriolae(ブリ筋肉線虫)
分類学 線形動物門、双線綱、カマラヌス目
宿主名 ブリ(Seriola quinqueradiata
病名 筋肉線虫症
寄生部位 体側筋肉
肉眼所見 外観的な異常は見られない。解剖すると、体側筋肉内に幾重にも折れ曲がった虫体が見られる(写真1)
寄生虫学 虫体は円筒形で、長さは40 cm以上にもなる(写真2)。これまで見つかっているのは全て雌である。胎生であり、虫体の内部はほとんどが子宮でしめられている。体色は、子宮内が卵で充満している時期は赤、卵が孵化して子宮が仔虫で満たされる頃には淡褐色からクリーム色になる。春から夏にかけて、皮膚を穿孔して虫体の一部を体外に出し、産仔するという報告がある(中島ら, 1970)。生活環は不明。
病理学 宿主にどのような影響を及ぼすかは不明であるが、被寄生魚は商品価値を失う。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 解剖して筋肉内の虫体を確認する。
その他の情報 春先、産卵後の痩せた天然ブリに寄生例が多いといわれる。夏までに魚体から虫体が脱出すれば、ブリは自然治癒すると思われるが、はっきりとは分かっていない。
参考文献 中島健次・江草周三・中島東夫 (1970): ブリに寄生する線虫Philometroides seriolaeの魚体脱出現象について. 魚病研究, 4, 83-86.

(写真提供者:長谷川 理(2))

写真1.ブリ筋肉から見つかった線虫

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写真2.ブリ筋肉線虫の若虫