寄生虫名 Rocinela maculata(タラノシラミ)
分類学 節足動物門、甲殻亜門、軟甲綱、等脚目
宿主名 ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)、タラ類
病名 ロチネラ症
寄生部位 ひれ
肉眼所見 ひれに寄生する虫体およびそれに伴う出血が観察される。
寄生虫学 体長1.5-4 cm(写真1)、雌雄異体である。魚体に懸着して体表から吸血した後、宿主を離れる。もともとはタラ類などの底魚に寄生する種類で、グリーンランド、シベリア、北海道の太平洋沿岸などに分布する。
病理学 日本では、寄生による傷口から二次的にビブリオ感染が起きて問題となった(粟倉、2006)。Rocinela bellicepsについては、北米のカラフトマスやギンザケの幼魚に致命的な影響を与えたという報告がある(Novotny & Mahnken, 1971)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。ただし、Rocinela signataは、潜水士の皮膚にも噛み付くことが報告されている(Garzon-Ferreira, 1990)。
診断法 ひれに寄生している虫体は容易に肉眼で観察できる。胸肢の前節3対のみが鉤状となっているのが特徴的である。
その他の情報 北海道の太平洋沿岸で海中養殖していたギンザケに発生し、ビブリオ病を引き起こして問題となった(粟倉、2006)。
参考文献 粟倉輝彦(2006):ロチネラ症。新魚病図鑑、緑書房、p. 47.

Garzon-Ferreira, J. (1990): An isopod, Rocinela signata (Crustacea: Isopoda: Aegidae), that attacks humans. Bull. Marine Sci., 46, 813-815.

Novotny, A. J. and C. V. W. Mahnken (1971): Predation on juvenile Pacific salmon by a marine isopod Rocinela belliceps pugettensis (Crustacea, Isopoda). Fishery Bulletin, 69, 699-701.
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写真1.ギンザケから採取したロチネラ

(写真提供者:粟倉輝彦)