寄生虫名 Spraguea americana(アンコウ微胞子虫)
分類学 微胞子虫門、微胞子虫綱、微胞子虫目
宿主名 キアンコウ(Lophius litulon
寄生部位 神経組織
肉眼所見 外観上の異常は見られない。剖検的には、脳を含む様々な神経組織に白色のシスト塊が観察される(写真12)。
寄生虫学 シスト内部に多数の胞子が形成される(写真3)。胞子は伸張した卵型で長さ平均3.4 μm、幅平均1.8 μm
病理学 本寄生虫は細胞内寄生性であり、宿主の神経節細胞に寄生してキセノマ(宿主細胞と寄生虫の複合体)を形成する。キセノマ内では寄生虫の増殖、胞子形成が行われる。成長したキセノマは、シストとして肉眼でも観察されるようになる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてUvitex 2B染色し、蛍光顕微鏡で観察する。染色された胞子は、紫外光で青い蛍光を発する。
その他の情報 本寄生虫は、日本海沿岸で漁獲されるキアンコウに非常に高率で寄生していることが分かっている。なお、本種はアメリカンアングラー(Lophius americanus)の神経組織に寄生するGlugea americanusとされていたが、分子系統解析によりGlugea属からSpraguea属に転属され、Spraguea americanaとなった。また、分子系統解析の結果からは、アングラー(Lophius piscatorius)などに寄生するSpraguea lophiiとも非常に近縁であることが示唆されるが、S. lophii大小2型の胞子を形成するのに対して、本種はそのような性質を持たないため、別種とされている(Freeman et al., 2004)。
参考文献 Freeman,M. A., H. Yokoyama and K. Ogawa (2004): A microsporidian parasite of the genus Spraguea in the nervous tissues of the Japanese anglerfish Lophius litulon. Folia Parasitol., 51, 167-176.

写真3.S. americanaの胞子

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写真2.某スーパーの店頭に並んでいた
「アンコウ鍋セット」。多数のシスト(矢印)が見える。

写真1.罹患したキアンコウの頭部腹側を露出。
右側の脳神経(迷走神経)にシストが見える(矢印)。