寄生虫名 Thelohanellus wuhanensis(テロハネルス・ウーハネンシス)
分類学 ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、双殻目
宿主名 ギンブナ(Carassius gibelio
寄生部位 皮膚
肉眼所見 外観的に皮膚患部が膨隆する(写真1)。出血斑として認められることもある。
寄生虫学 シストの内部で多数の胞子が産生される(写真2)。胞子は流滴形で、長さ23.621.0-25.0μm、幅13.812.0-15.5μm、厚さ10.0-12.5μm。極嚢は1個で、長さ10.59.0-12.3 μm、幅8.17.0-9.0 μmChen and Ma, 1998。生活環は不明。
病理学 主に稚魚に寄生し、致命的影響を与える。皮下に形成されたシストが成熟し破裂することに伴い、周囲の組織が崩壊して出血すると考えられる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する。
その他の情報 1999年、湖北省武漢市のギンブナ養殖場において、この寄生虫が原因となる稚魚の大量死があったとされる(Wang et al., 2001)。また、実験的ではあるが、抗生物質のフマギリンの投与が有効であった(Wang et al., 2001)。
参考文献 Chen, Q. L., and C. L. Ma (1998): Myxozoa, Myxosporea. Fauna Sinica. Beijing, Science Press, 987 p.

Wang, G. T., W. J. Yao, J. G. Wang and Y. S. Lu (2001): Occurrence of thelohanellosis caused by Thelohanellus wuhanensis (Myxosporea) in juvenile allogynogenetic silver crucian carp, Carassius auratus gibelio (Bloch), with an observation on the efficacy of fumagillin as a therapeutant. J. Fish Dis., 24, 57-60.

(写真提供者: 章 晋勇)

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写真2.T. wuhanensisの胞子。右上の胞子からは、極糸が弾出しているのが見られる。

写真1.T. wuhanensisのシストによる膨隆部(矢印)。