(写真提供者:桃山和夫)

ブラウザの「戻る」で前頁へ

または

写真3.変性した脂肪細胞

写真2.変色したイシガレイの剖検(筋肉を露出)。

写真1.無眼側エンガワ部分がまだら模様に変色した
イシガレイ。

原因 脂肪変性
魚種名 イシガレイ(Kareius bicoloratus
肉眼所見 外観的には、黒色色素が分布しない無眼側のエンガワ部分に橙色のまだら模様が観察される(写真1)。剖検的には、エンガワ部分に大量に蓄積された脂肪が変性し黄変している(写真2)。
病理学 患部を切開すると、大きさ70-300 μmで黄色から橙色の脂肪細胞が顆粒状物として多数見られる(写真3)。変性した脂肪細胞は球形から楕円形で、正常脂肪細胞に比べるとかなり硬化している。細胞表面にはクレーター様構造物が見られたり、内部には15-50 μmの球状物体やイガグリ状物体が観察されることもある。変性脂肪はズダンブラックB染色で青く染まるが、有機溶剤には不溶または難溶である。脂肪変性が起こる原因は不明である。
人体に対する影響 変性脂肪を摂取することによる人体への影響は、不明である。
診断法 エンガワ部分の脂肪細胞の変性をズダンブラックB染色で確認する。
その他の情報 このような異常イシガレイは、冬期に限って漁獲されるという報告がある(桃山・天社, 2006)。なお、養殖魚の脂肪織黄変症は変敗した飼料を投与した場合に起こるとされている。
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4号(別刷), 143-161.