寄生虫名 Neobrachiella hugu(ネオブラキエラ・フグ)
分類学 節足動物門、甲殻亜門、カイアシ亜綱、ナガクビムシ目
宿主名 トラフグ(Takifugu rubripes
寄生部位 口腔壁、まれに口唇部
肉眼所見 口腔に白色の虫体として見られる(写真1)。重度寄生の場合は、口唇部に見られる場合もある(写真2)。
寄生虫学 雌雄異形が著しく、肉眼的に見られるのはすべて雌成虫である(写真3)。頭胸部は長さ3.1-3.6 mmで細長く、後端に一対の長い卵嚢(長さ5-6 mm)を持つ(Yamaguti, 1939)。コペポディド幼生が魚に寄生した後、ブラと呼ばれる固着器を宿主組織に打ち込んで懸着する。もともとClavellopsis hugu Yamaguti, 1939として記載されたが、後に変更された(Ogawa and Inouye, 1997)。
病理学 寄生した部分の組織が局所的に肥厚するものの、軽度寄生ではほとんど無害である。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 虫体を70%エタノールで固定後、乳酸で透過して形態観察する。
その他の情報 1986年から1987年に長崎県のトラフグ養殖場で実施された調査では、周年にわたり高い寄生率(最高100%)がみられたが、寄生強度が低かった(1尾あたり5.6-6.7虫体)ため、とくに病害性はないと判断された(Ogawa and Inouye, 1997)。
参考文献 Ogawa, K. and K. Inouye (1997): Parasites of cultured tiger puffer (Takifugu rubripes) and their seasonal occurrences, with descriptions of two new species of Gyrodactylus. Fish Pathol., 32, 7-14.

Yamaguti, S. (1939): Parasitic copepods from fishes of Japan. Part 6. Lernaeopodida, I. Vol. Jub. Prof. Yoshida, 2, 529-578.
ブラウザの「戻る」で前頁へ

または

(写真提供者:土内隼人(1, 3)、木南竜平(2))

写真3.Neobrachiella huguの虫体。

写真2.トラフグの口唇部に寄生している虫体(矢印)。

写真1.トラフグ口内に寄生しているネオブラキエラ(矢印)