寄生虫名 Nematoda(線虫)
分類学 線形動物門
宿主名 ウニ(種名不明)
寄生部位 不明
肉眼所見 糸状の異物が、生ウニに付着していた。
寄生虫学 線虫の幼虫である。円筒形で、長さ約5 mm、幅約0.3 mm(写真1)。幼虫であるため、種の同定に必要な形態的特徴が発達しておらず、種は不明である。口唇のような構造がある頭部(写真2)と鈍端に終わっている尾部(写真3)が観察されたが、いずれも不明瞭である。日本では以前、韓国産およびアメリカ産のウニからEchinocephalus属の線虫が見つかっているが、本種とは頭部の形態などが一致しない。それよりも、ヨーロッパで報告されているウニ寄生線虫Echinomermella matsiに形態的には近縁の種であると推定される。
病理学 未報告。Echinomermella matsiでは、寄生によって宿主の性成熟が抑制されるという報告がある(Hagen, 1996)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 顕微鏡で、外表面のクチクラ様構造が確認されたため、線虫の一種と診断された。
その他の情報 生ウニに付着していた異物として見つかったため、詳細は不明である。
参考文献




Hagen, N. T. (1996): Parasitic castration of the green echinoid Strongylocentrotus droebachiensis by the nematode endoparasite Echinomermella matsi: reduced reproductive potential and reproductive death.

写真2.線虫の頭部(上)と尾部(下)

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写真1.ウニから見つかった線虫

または