寄生虫名 Acanthocolpidae科吸虫(アカンソコルパ)
分類学 扁形動物門、吸虫綱、後睾吸虫目
宿主名 スズキ(Lateolabrax japonicus
病名 吸虫性側湾症
寄生部位
肉眼所見 罹患魚は、脊椎が側湾する(写真1)。脳室内には、直径約1 mmの黄色球形シストが1個観察される(写真2)。
寄生虫学 シスト内の吸虫は、口吸盤の形態と口吸盤周囲の密生した棘等の特徴からAcanthocolpidae科のメタセルカリア(被嚢幼虫)と同定された。
病理学 罹患魚に脊椎骨の骨折などの異常が認められなかったことから、メタセルカリアが脳室内に寄生したことにより側湾が生じたと考えられる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 脳室内のシストを取り出し、虫体の形態を確認する。
その他の情報 通常、本科のメタセルカリアは海産魚の筋肉に寄生する。そのため、脳内寄生は迷入によるものとも考えられる。
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4号(別刷), 143-161.
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写真2.スズキの脳内から摘出された吸虫シスト

(写真提供者:桃山和夫)

写真1.側湾を呈したスズキ.