寄生虫名 Anoplodiscus tai(アノプロジスクス・タイ)
分類学 扁形動物門、単生綱、単後吸盤目
宿主名 マダイ(Pagrus major
病名 アノプロジスクス症
寄生部位 主に鰭、体表
肉眼所見 mm程度の虫体が体表や鰭に付着している(写真1)。寄生による刺激から、体表のびらんや鰭の一部欠損が生じる。重篤寄生魚では、慢性的な食欲不振により痩せることもある。
寄生虫学 虫体は扁平で細長く、成虫の体長は3-4 mm(写真2)。虫体の後端部にある吸盤状の固着盤で宿主に付着する。付着した部位から動くことはなく、そのため固着盤の周囲は増生した宿主組織で覆われる(写真3)。
病理学

感染魚は、寄生の影響で摂餌が低下して痩せるが、死亡することはない。病理組織学的には、固着盤の吸着により寄生部位の宿主組織が持ち上げられ、そこに大量の炎症細胞の浸潤が観察される。固着盤によって宿主鰭組織がつかみ取られる場合もあり、結果として鰭の欠損につながると考えられる(Ogawa, 1994)。

人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 虫体の形態学的な観察を行う。クロダイの体表に寄生する近縁種のAnoplodiscus spariは、体長が2-3 mmとやや小さく、木の葉型であることで区別が付く。
その他の情報 対策としては、淡水浴が有効である。
参考文献 Ogawa, K. (1994): Anoplodiscus tai sp. nov. (Monogenea: Anoplodiscidae) from cultured red sea bream Pagrus major. Fish Pathol., 29, 5-10.
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写真3.鰭に吸着しているA. taiの組織像。固着部に
組織の増生がみられる。

写真2.Anoplodiscus taiの虫体。後端が吸盤状
になっている。

写真1.マダイの胸鰭に寄生したAnoplodiscus tai