寄生虫名 | Benedenia epinepheli(ベネデニア・エピネフェリ) |
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分類学 | 扁形動物門、単生綱、単後吸盤目 |
宿主名 | ヒラメ(Paralichthys olivaceus)、トラフグ(Takifugu rubripes)、マハタ(Epinephelus septemfasciatus)、キジハタ(Epinephelus akaara)、クロソイ(Sebastes schlegeli)、カサゴ(Sebastiscus marmoratus)等、海産魚 |
病名 | ベネデニア症 |
寄生部位 | 体表、鰭 |
肉眼所見 | 透明な虫体が体表や鰭に付着している(写真1)。多数寄生すると、患部がスレてくるので認識できる。 |
寄生虫学 | 虫体は扁平しており、成虫の体長は2-3 mmとハダムシ類では小型である。後端部にある吸盤状の固着盤と、前端にある1対の口前吸盤で宿主に付着する(写真2)。雌雄同体で、成虫は糸状のフィラメントが付いた虫卵を産む。Neobenedenia girellaeと同様、宿主範囲が広く、13科25種もの養殖魚、天然魚、水族館飼育の海産魚に寄生する(Ogawa et al., 1995)。 |
病理学 | 患部の傷口が細菌による二次感染の侵入門戸になりうると考えられるが、あまり研究されていない。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 虫体の圧平標本を作製して、形態学的な観察を行う。近縁種のN. girellaeは体長が3-8 mmと大型であるので、容易に区別できる。他のBenedenia属とは、生殖口の開口部が翼状に突出している点で識別できる(小川、2004)。 |
その他の情報 |
1989年頃から海面生簀養殖で見られるようになった寄生虫であるが、由来は定かでない。淡水浴が有効と考えられるが、対策についてはあまり研究されていない。 |
参考文献 | Ogawa, K., M. G.
Bondad-Reantaso and H. Wakabayashi (1995): Redescription of Benedenia epinepheli (Yamaguti, 1937) Meserve, 1938 (Monogenea: Capsalidae) from cultured and
aquarium marine fishes of Japan. Can. J. Fish. Aquat. Sci., 52 (Suppl. 1), 62-70. 小川和夫 (2004): 単生虫病. 魚介類の感染症・寄生虫病(若林久嗣・室賀清邦編), 恒星社厚生閣, pp.353-379. |
写真2.ヒラメから得られたB. epinepheli虫体
写真1.B. epinepheliの寄生を受けたキジハタ種苗。背鰭
前方に多数の虫体が見られる。
(写真提供者:小川和夫)
または