寄生虫名 Bivagina tai(ビバギナ・タイ)
分類学 扁形動物門、単生綱、多後吸盤目
宿主名 マダイ(Pagrus major
病名 ビバギナ症
寄生部位
肉眼所見 鰓弁上に数mm程度の虫体が寄生しているのが確認できる。多数寄生の場合、吸血により鰓は褪色して貧血症状を示す。
寄生虫学 虫体は細長く、成虫の体長3-7 mm(写真1)。虫体の後端部にある左右2列の把握器で宿主の鰓薄板をつかんで寄生する。左右の把握器はほぼ同大で、その総数は80-130個。雌雄同体で、成虫は両端に長い突起を持つ紡錘形の虫卵を産むが、前後の卵はつながらない。
病理学

大量寄生すると、吸血により鰓が貧血症状を呈する。重篤魚では死亡することもある。

人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 成虫の場合、鰓弁に寄生している虫体を肉眼でも確認できる。未成熟虫に関しては、鰓弁の一部をスライドグラス上に乗せてカバーグラスをかけ、光学顕微鏡で観察する。
その他の情報 本虫の寄生には明らかな季節性が認められる。寄生強度が最も高まるのはマダイが0才の冬であり、その時期の被害が最も大きい。水温が20℃まで上昇する初夏に再び寄生数は増加するが、この時期の被害は少ない。さらに水温が上がると寄生数は減少する。このように、本虫の好適繁殖温度は20℃以下であり、冬場の流行は、水温低下によって魚の寄生虫に対する抵抗力が低下したためであると考えられる(Ogawa, 1988)。対策としては、過酸化水素を有効成分とする薬浴剤が水産用医薬品として使用できる。
参考文献 Ogawa, K. (1988): Occurrence of Bivagina tai (Monogenea: Mycrocotylidae) on the gills of cultured red sea bream Pagrus major. Nippon Suisan Gakkaishi, 54, 61-64.

または

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写真1.Bivagina taiの染色標本