寄生虫名 Huffmanela sp.(ハフマネラ属線虫)
分類学 線形動物門
宿主名 ハモ(Muraenesox cinereus
寄生部位 腹膜と筋肉の間
肉眼所見 腹膜と筋肉の間に2-3 mmの黒色異物として認められ(写真1)、拡大すると褐色の点状構造の集合体であることがわかった(写真2)。
寄生虫学 集合体は紡錘形の寄生虫卵の塊であり(写真3)、卵は長径約65μm、殻は厚く、両端に栓様構造が認められた(写真4)。以上の形態から、ハフマネラ属線虫の虫卵と考えられた。ハフマネラは成虫が見つからないことが多いので、虫卵だけで種の記載がなされる場合もあるが(Justin, 2011)、今回は種の同定には至らなかった。
病理学 魚に対する病害性は低いと考えられる。
人体に対する影響 Huffmanela属線虫は18種類が記載されており (Ruiz et al., 2013)、いずれも魚類寄生性であるため、人には影響ない。感染魚を食べた人の糞便検査で、消化管内を通過して排泄された虫卵が検出されることもそれを裏付けている。
診断法 虫卵の大きさ、形態を観察することで推定診断ができる。
参考文献 Justine, J. L (2011): Huffmanela plectropomi n. sp. (Nematoda: Trichosomoididae: Huffmanelinae) from the coralgrouper Plectropomus leopardus (Lacepede) off New Caledonia. Syst. Parasitol., 79, 139-143

Ruiz, C. F., Ray, C. L., Cook, M., Grace, M. A. & Bullard, S. A. (2013): A new species of Trichosomoididae (Nematoda) from skin of red snapper, Lutjanus campechanus (Perciformes: Lutjanidae), on the Texas-Louisiana shelf, Northern Gulf of Mexico. J. Parasitol., 99, 318-326
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(写真提供者:荒木 潤)

写真4.Capillaria sp.虫卵。矢印は栓様構造を示す。

写真3.虫卵の集合体

写真2.異物(矢印)の拡大

写真1.ハモの肉に見られた異物(矢印)