寄生虫名 | Cardicola sp.(血管内吸虫) |
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分類学 | 扁形動物門、吸虫綱、住血吸虫目 |
宿主名 | クロマグロ(Thunnus thynnus) |
病名 | 血管内吸虫症 |
寄生部位 | 鰓血管内 |
肉眼所見 | 外観的な症状は示さない。肉眼的に原因寄生虫を確認することも困難である。実体顕微鏡レベルで鰓を観察したときに、虫卵が多数詰まっていることで寄生を認識できる(写真1)。 |
寄生虫学 | 血管内寄生性の吸虫である。成虫は鰓弁の動脈内から見つかっているが、その他の臓器にも寄生するかどうかは分かっていない。虫体は細長く葉状で、大きさは2-3
mm(写真2)。種の同定はなされていないが、カンパチやブリ、トラフグなどに寄生する血管内吸虫とは別種である。また、オーストラリアのミナミマグロ(Thunnus maccoyii)に寄生するCardicola forsteriとも別種と考えられる。生活環には中間宿主の存在が推測されるが、不明である。 |
病理学 | 虫卵が鰓の毛細血管に充満して血行障害を引き起こす。そのため、宿主に対する病害性が強いと考えられるが、実体は明らかになっていない。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 鰓組織を顕微鏡で観察すれば、血管内の虫体や虫卵を容易に見つけることが出来る。 |
その他の情報 | 近年、クロマグロ養殖が盛んになるに伴って報告されるようになった比較的新しい病気である。そのため、被害の実態や、寄生虫の分布、季節性、感染環など、ほとんど知見がない。C. forsteriについては、オーストラリアのミナミマグロ養殖場における寄生状況が調べられている。それによると、蓄養を始めた3月には10尾中1尾から1虫体が確認されただけであったが、その後2ヶ月で寄生率は100%、寄生強度は平均で27虫体/尾にまで達した。しかし、8月には寄生率は35%、寄生強度は約3虫体/尾に減少した。また、調査期間を通じて血管内吸虫の寄生による死亡は認められず、C. forsteriのミナミマグロに対する病害性は小さいと考えられた(Aiken et al., 2006)。クロマグロに寄生する血管内吸虫についても、今後の調査が待たれる。 |
参考文献 | Aiken, H. M., C. J. Hayward and B. F. Nowak (2006): An epizootic and its decline of a blood fluke, Cardicola forsteri, in farmed southern bluefin tuna, Thunnus maccoyii. Aquaculture, 254, 40-45. |
または
写真2.Cardicola sp.の生標本
(写真提供者:高見生雄)
写真1.鰓薄板の血管内に多数の虫卵が詰まっている
クロマグロの鰓弁。