寄生虫名 Digramma interrupta(ディグランマ・インターラプタ)
分類学 扁形動物門、条虫綱、擬葉目、リグラ科
宿主名 フナ(Carassius auratus)、エゾウグイ(Tribolodon ezoe
病名 ディグランマ症
寄生部位 腹腔内
肉眼所見 腹部が膨満し、遊泳が不活発になる(写真1)。剖検的には、白い紐状の虫体(いわゆる「サナダムシ」)が腹腔内に充満しているのが観察できる(写真2)。
寄生虫学 虫体は幅1.5 cm、長さ最大で1 m以上に達する(写真3)。魚類に寄生するのはプレロセルコイド幼生であり、頭部も体節構造もまだ見られない(粟倉, 2006)。第一中間宿主はカイアシ類、魚類は第二中間宿主で、終宿主は数種の魚食性鳥類である。鳥の消化管内で成虫となり産卵する。
病理学 魚の生殖巣の発達が阻害され、寄生去勢が起きる(粟倉ら、1976)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。むしろ、イタリアでは「マカロニ・ディ・マーレ(Maccheroni di mare)」(海のマカロニ)といって、これを食用にする地域さえあるという。
診断法 魚類の腹腔内に寄生する虫体は、肉眼で容易に観察できる。
その他の情報 魚類から取り出したプレロセルコイド幼生をウマ血清中で23日間培養することにより、成虫を実験的に得ることが可能である。予防対策や駆虫法などは開発されていない。
参考文献 粟倉輝彦(2006):ディグランマ症、新魚病図鑑、緑書房、p. 123.

粟倉輝彦・外崎 久・伊藤富子(
1976):北海道におけるコイ科魚類のリグラ条虫症について。水産孵化場研報、31, 67-81.
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写真3.エゾウグイから取り出したディグランマ

(写真提供者:粟倉輝彦)

写真2.エゾウグイの腹腔内に寄生するディグランマ

写真1.腹部膨満を呈するフナ

または