(写真提供:浦和茂彦(1,2)、粟倉輝彦(3))

写真1.鰓に多数寄生したグロキジウム幼生.

写真3.グロキジウム幼生の拡大写真。

写真2.グロキジウム幼生の重篤寄生を受けた鰓。

寄生虫名 Margaritifera laevis(カワシンジュガイのグロキジウム幼生)
分類学 軟体動物門、二枚貝綱、イシガイ目
宿主名 ヤマメ(Oncorhynchus masou)、アマゴ(Oncorhynchus rhodurus)などのサケ科魚類
病名 グロキジウム症
寄生部位
肉眼所見 外観上の異常は見られない。鰓に0.070.46 mmの寄生体が多数認められる(写真12)。
寄生虫学 カワシンジュガイは殻長10 cm前後の長楕円形をした淡水産二枚貝である。殻は厚く、表面は褐色、内面は真珠光沢を持つ。山間渓流部の流速の速い砂礫底に生息する。7月下旬から8月中旬にグロキジウム幼生(写真3)が放出され、サケ科魚の鰓で2ヶ月ほど寄生している間、宿主魚の移動に伴って上流に移動する。その後、稚貝となって離脱し、砂中に潜るという生活史を経る。
病理学 通常、魚に対する病害性は低いが、1尾あたり数千個体の寄生を受けると、ガス交換機能の障害により死亡することもある(粟倉、2006)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 実体顕微鏡レベルの形態観察で診断可能である。
その他の情報 対策として、グロキジウム幼生が放出される時期は河川水をろ過して使用する、または河川水を用いないことが挙げられる。なお、カワシンジュガイは環境省のRDBカテゴリーで絶滅危惧II類に指定されている。
参考文献 粟倉輝彦(2006):グロキジウム症. 新魚病図鑑(畑井喜司雄・小川和夫監修), 緑書房, p.48.

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