寄生虫名 | Glugea epinephelusis(グルゲア・エピネフェルシス) |
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分類学 | 微胞子虫門、微胞子虫綱、微胞子虫目 |
宿主名 | キジハタ(Epinephelus akaara) |
寄生部位 | 腹腔内 |
肉眼所見 | 腹腔内に、不定形で大きさ数ミリから1 cmの黒色シストが多数見られる(写真1、2)。 |
寄生虫学 | シストは宿主細胞と寄生虫の複合体、すなわち「キセノマ」である。キセノマ内では寄生虫の増殖、胞子形成が行われ、最終的には胞子で充満する。胞子は楕円型で、長さ約4-5μmである(写真3)。 |
病理学 | キセノマが黒く見える理由は定かでないが、宿主反応によるメラニン沈着によるものかもしれない。重篤感染魚では、死に至るという。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 腹腔内に黒色シストが見出された場合、シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。しかし、宿主反応によりほとんど全ての胞子が壊されていることもある。そのような場合は、スメア標本を作製してUvitex 2B染色し、蛍光顕微鏡で観察する。染色された胞子は、紫外光で青い蛍光を発する。 |
その他の情報 | 中国広東省のキジハタ養殖場で本寄生虫による死亡が発生し、産業的問題となった(Wu et al., 2005; Zhang et al., 2004)。感染魚は胞子に対する抗体を産生するが、抗体価は寄生強度(シスト数)と相関しないことなどが分かっている(Zhang et al., 2005)。 |
参考文献 | Wu, H. B., Y. S. Wu
and Z. H. Wu (2005): Occurrence of a new microsporidium in the abdominal cavity
of Epinephelus akaara. Acta Hydrobiol. Sin. 29, 150-154. Zhang, J. Y., Y. S. Wu, Y. S. Lu and J. G.Wang (2004): Advance in research of fish microsporidia. Acta Hydrobiol. Sin. 28, 563-568. Zhang, J. Y., Y. S. Wu, H. B. Wu, J. G. Wang, A. H. Li and M. Li (2005): Humoral immune responses of the grouper Epinephelus akaara against the microsporidium Glugea epinephelusis. Dis. Aquat. Org., 64, 121-126. |
または
写真2.キジハタから取り出したグルゲアシスト。
写真1.重篤寄生したキジハタの剖検。
写真3.G. epinephelusisの胞子。
(写真提供者: 章 晋勇)