寄生虫名 Ichthyophthirius multifiliis(白点虫)
分類学 繊毛虫門、少膜綱
宿主名 ほぼ全ての温水性淡水魚
病名 白点病
寄生部位 体表、鰭、鰓の上皮内。
肉眼所見 外観的に小さな白点として認められる。重度に寄生を受けた魚では、粘液分泌や異常遊泳がみられる場合もある。鏡検により、体表、鰭、鰓の上皮内で回転運動している虫体が観察される(写真1)。
寄生虫学 魚に寄生するのは栄養体またはトロホントと呼ばれるステージである。トロホントは径0.5-1.0 mm程度の球形で、馬蹄形の大核を持つ。1週間程度で魚体から離脱し、トモントというステージになって水底でシスト形成する。1日以内にシスト内で分裂して仔虫が産生される。シストから放出された虫体(セロント)は再び魚に感染する(Lom and Dykova, 1992; 小川, 2004)。
病理学 重度寄生では、上皮増生や炎症反応が起こり、虫体の離脱時に体表や鰓の上皮組織が剥離することで、浸透圧調整や呼吸機能に障害を与える。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 顕微鏡検査により、繊毛と馬蹄形の大核を有する虫体を確認する。
その他の情報 本病は養殖魚、観賞魚、水族館飼育魚等で最も重要な寄生虫病のひとつであるため、多くの研究がなされている。対策等については、成書を参照されたい(小川、2004)。
参考文献 Lom, J and I. Dykova (1992) Protozoan Parasites of Fishes, Developments in Aquaculture and Fisheries Science, 26, Elsevier, pp. 315.

小川和夫 (2004): 原虫病. 魚介類の感染症・寄生虫病(若林久嗣・室賀清邦編), 恒星社厚生閣, pp.285-338.

写真1.白点虫が大量寄生したウナギの鰓。

(写真提供者:江草周三)

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