寄生虫名 Loma branchialis(ローマ・ブランキアリス)
分類学 微胞子虫門、微胞子虫綱、微胞子虫目
宿主名 タイセイヨウマダラ(Gadus morhua)、スケトウダラ(Theragra chalcogramma)、ハドック(Melanogrammus aeglefinus)など
寄生部位 主に鰓。重篤になると心臓や肝臓にも寄生する。
肉眼所見 鰓に球状のキセノマ(宿主細胞と寄生虫の複合体)が多数観察される(写真1)。
寄生虫学 キセノマ内部に多数の胞子が形成される(写真2)。胞子は長楕円型で長さ約4.8 mm、幅約2.3 mm
病理学 重篤寄生を受けると、成長の鈍化、肥満度の低下、ヘマトクリット値の減少などを呈して、衰弱死する(Khan, 2005)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 キセノマをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてUvitex 2B染色し、蛍光顕微鏡で観察する。染色された胞子は、紫外光で青い蛍光を発する。
その他の情報 北大西洋や北海のタラ科魚に寄生することが知られていた。日本では初報告になる。本種の宿主魚に対する病害性は従来さほど問題視されていなかったが、タイセイヨウダラの種苗生産が盛んになるに従って、ヨーロッパでは重要な病原体として認識され始めている。
参考文献 Khan, R. A. (2005): Prevalence and influence of Loma branchialis (Microspora) on growth and mortality in Atlantic cod (Gadus morhua) in coastal Newfoundland. J. Parasitol., 91, 1230-1232.

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(写真提供者:Mark Freeman)

写真2.Loma branchialisの胞子。

写真1.スケトウダラの鰓に形成された多数のキセノマ.