寄生虫名 Myxobolus sp.(ミクソボルス属粘液胞子虫)
分類学 ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、双殻目
宿主名 フナ(Carassius auratus)、ギンブナ(Carassius gibelio
寄生部位 頭部、鰭、体表
肉眼所見 頭部、とくに口の周囲に多数の白色シストが形成される(写真1)。
寄生虫学 シストの内部で多数の胞子が産生される(写真2)。胞子はほぼ円形で、長さ9.28.4-9.8μm、幅8.27.8-8.4μm、厚さ5.55.4-5.8μm。2個の極嚢は同形同大で、長さ4.53.6-4.8 μm、幅2.82.4-3.0 μmChen and Ma, 1998。生活環は不明。
病理学 宿主魚に対して致命的影響を与えることはないが、商品価値が低下する(Lu et al., 2002)。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する。
その他の情報 本種は中国の養殖フナに重篤寄生して問題となり、Myxobolus rotundusと同定されて免疫学的な研究が行われてきた(Lu et al., 2002; Lu et al, 2003; Zhang et al., 2006)。しかし、SSU rDNAの塩基配列の違いなどから、別種である可能性が指摘されている(K. Molnar、私信)。
参考文献 Chen, Q. L., and C. L. Ma (1998): Myxozoa, Myxosporea. Fauna Sinica. Beijing, Science Press, 987 p.

Lu, Y. S., M. Li, Y. S. Wu and J. G. Wang (2002): Antigenic study of Myxobolus rotundus (Myxozoa: Myxosporea) using monoclonal antibodies. J. Fish Dis., 25, 307-310.

Lu, Y. S. P. Nie and B. J. Sun (2003): Detection of Myxobolus rotundus (Myxozoa: Myxosporea) in skin mucus of crucian carp Carassius auratus auratus using monoclonal antibody. Dis. Aquat. Org., 54, 171-173.

Zhang, J. Y., J. G. Wang, Y. S. Wu, M. Li, A. H. Li and X. L. Gong (2006): A combined phage display ScFv library against Myxobolus rotundus infecting crucian carp, Carassius auratus auratus (L.), in China. J. Fish Dis., 29, 1-7.

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写真2.Myxobolus sp.の胞子。

(写真提供者:章 晋勇)

写真1.口部にミクソボルスの重篤寄生を受けたフナ。