寄生虫名 Myxobolus aeglefini(ミクソボルス・アエグレフィニ)
分類学 ミクソゾア門、粘液胞子虫綱、双殻目
宿主名 ノロゲンゲ(Bothrocara hollandi)、ハドック(Melanogrammus aeglefinus)、タイセイヨウタラ(Gadus morhua)、タラ科(Molva vulgaris)、メルルーサ(Merluccius merluccius)、ランプフィッシュ(Cyclopterus lumpus)、プレイス(Pleuronectes platessa)、ニシマガレイ(Limanda limanda
寄生部位 ノロゲンゲの場合、筋肉(軟骨組織内)。他の魚種では頭部の軟骨。
肉眼所見 ノロゲンゲの場合、透過光によって解剖しなくてもシストが観察できる(写真1)。解剖すると、直径3 mm程度の白色球状シストが体側筋肉に多数見られる(写真2)。
寄生虫学 シストの内部で多数の胞子が産生される(写真3)。胞子はほぼ円形で、長さ11.2-13.5(平均12.0mm、幅10.5-12.011.0mm、厚さ6.9-8.47.7mm2個の極嚢の長さ3.9-5.44.5mm、幅2.5-3.42.8mm。胞子の後端部は粘液に覆われる。生活環は不明。中間宿主の介在が推測される。
病理学 ノロゲンゲに寄生した場合、寄生虫は宿主の軟骨組織と薄い結合組織によって二重に被包されてシストを形成する。シスト近傍の筋肉内にも胞子が観察されることがあるが、これはシストの崩壊に伴って胞子が放出されたものと考えられる(Yokoyama and Wakabayashi, 2000)。罹患魚に致命的な影響を与えるかどうかは不明であるが、寄生部位の醜悪な外見のため、商品価値が失われる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてギムザ染色またはディフ・クイック染色する。
その他の情報 宿主範囲は広いがその多くは底魚であり、日本以外では北大西洋、北海、バルト海で報告されている。宿主によって寄生部位は異なるが、いずれも軟骨組織内にあることで一致する。
参考文献 Yokoyama H. and H. Wakabayashi (2000): Myxobolus aeglefini found in the skeletal muscle of porous-head eelpout Allolepis hollandi from the sea of Japan. Fish. Sci., 66, 963-966.

写真3.M. aeglefiniの胞子

写真2.ノロゲンゲ罹患魚の剖検

または

写真1.透過光で観察したノロゲンゲ罹患魚

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(写真提供者:若林信一(1,2))