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寄生虫名 Microsporidium sp.(ミクロスポリジウム)
分類学 微胞子虫門、微胞子虫綱、微胞子虫目
宿主名 マダイ(Pagrus major
病名 べこ病
寄生部位 体側筋肉
肉眼所見 外観的に体表の一部が膨隆し、その部位の色調が他の部位とやや違って、白色を呈する。剖検的には、体側筋肉に白色のシストが観察される(写真1)。
寄生虫学 シスト内部に多数の胞子が形成される(写真2)。胞子は長さ2.9-3.9μm、幅1.9-2.6 μm。ブリ類のべこ病の原因であるMicrosporidium seriolaeの胞子と比較すると、本種の方が若干大きい(江草ら, 1988)。
病理学 病理組織学的特徴および寄生虫の発育過程は、ブリのべこ病とほとんど差がない。すなわち、筋肉組織内のシストは宿主由来の薄い結合組織に被包されており、内部では寄生体の増殖と胞子形成が行われる。シストが成熟すると、内部の胞子が排出されるため、マダイの成長に従って病徴が見られなくなる。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 シストをつぶしてウェットマウントで胞子を確認する。標本はスメアにしてUvitex 2B染色し、蛍光顕微鏡で観察する。染色された胞子は、紫外光で青い蛍光を発する。
その他の情報 本病は稚魚期の病気であり、マダイの成長に伴い病徴は見られなくなるため、特別な対策は必要ない。ただし、成長しても筋肉内にシストの一部が残存することもある。
参考文献 江草周三・畑井喜司雄・藤巻由起夫 (1988): マダイ稚魚べこ病の原因微胞子虫Microsporidium sp.について. 魚病研究, 23, 263-267.

写真1.べこ病を呈したマダイ稚魚の剖検