病原体名 Oncorhynchus masou virus: OMV(オンコリンカス・マソウ・ウイルス)
分類学 ヘルペスウイルス科
宿主名 サクラマス(Oncorhynchus masou)、ギンザケ(O. kisutch)等のサケ科魚
病名 ウイルス性口部基底細胞上皮腫
感染部位 口部
肉眼所見 口部、とくに頬から顎にかけて腫瘍が形成される(写真1)。
ウイルス学 直径約100 nmの正二十面体カプシッドを持つDNAウイルスである。直径220240 nmのエンベロープといわれる外被を有する。サケ科魚類由来細胞に接種すると多核巨細胞形成を特徴とするCPEを形成する。増殖適温は10-15℃、20℃以上で不活化する(吉水、2004)。
病理学 宿主魚に対して致死性はないものの、頭部や顎の周囲に腫瘍(基底細胞がん)を形成する。
人体に対する影響 人体に対する影響はない。
診断法 外観症状から推定できるが、確定診断するためにはウイルスを分離してCPEを確認後、血清学的手法またはPCRにより同定する。
その他の情報 実験的に魚に腫瘍を誘発した最初の例として知られるが、現在では防疫対策が徹底されたため、ほとんど発生していない。
参考文献

吉水 守 (2004): ウイルス病. 魚介類の感染症・寄生虫病(若林久嗣・室賀清邦編), 恒星社厚生閣, pp.29-128.

(写真提供者:粟倉輝彦)

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写真1.OMVにより口部に腫瘍が形成されたサクラマス