寄生虫名 Pennella sp.(サンマヒジキムシ)
分類学 節足動物門、カイアシ亜綱、ペンネラ科
宿主名 サンマ(Cololabis saira
寄生部位 体表
肉眼所見 体表に寄生している虫体が肉眼で観察できる(写真1)。
寄生虫学 寄生するのは雌成虫のみ。本体は黒色で約7 cm、頭部を体表に埋没させ、後部に1対の卵嚢を付けている。
病理学 魚に対する病害性は低いと考えられるが、出荷の際に手作業で除去しなければいけないので、水産的には問題である。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 体表上の虫体を確認する。
その他の情報 1981年に北太平洋のサンマに突如として出現し、1983年には寄生率が約33%に達したが、その後、激減して1986年には全く見られなくなった。なお、この事例は寄生虫が生物指標としてうまく応用された実例として引き合いに出される(小川、2005)。従来、日本近海のサンマ系群は「北西太平洋系群」と「中央太平洋系群」に分けられていたが、この寄生虫の年変動が両系群で同じように見られたことから、両者は同一系群であることが示された(Nagasawa et al., 1988)。
参考文献 Nagasawa, K., Y. Imai and K. Ishida (1988): Long-term changes in the population size and geographical distribution of Pennella sp. (Copepoda) on the saury, Cololabis saira, in the western North Pacific Ocean and adjacent seas. Hydrobiologia, 167/168, 571-577.

小川和夫(2005): 1.5標識となる寄生虫。魚類寄生虫学、東京大学出版会、p. 54-62.
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写真1.サンマヒジキムシの寄生を受けたサンマ

または