寄生虫名 Philometra sp.
分類学 線形動物門、双線綱、カマラヌス目
宿主 マダイ(Pagrus major
病名 生殖腺線虫症
寄生部位 生殖腺
肉眼所見 生殖腺に赤紫色の虫体が多数見られる(写真1)。
寄生虫学 肉眼的に認められるのはすべて雌で、長さは20 cm以上に達する。生活環は不明であるが、おそらく中間宿主の小型甲殻類を摂食することで寄生し、消化管から生殖巣内へ移行して成熟、産仔する(小川, 2004)。その後、宿主反応により雌成虫は死滅し、生殖腺内に残骸が残る。本種は、もともとP. lateolabracisとして記載されたが、その後、雄虫体の形態観察と分子生物学的解析から、別種であることが示されている(Quiazon et al., 2006)。
病理学 産仔後から宿主反応が顕著になり、虫体は死滅する。
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 解剖して生殖腺内の虫体を確認する。
参考文献 小川和夫(2004):大型寄生虫病、「魚介類の感染症・寄生虫病(若林久嗣・室賀清邦編)」、恒星社厚生閣、東京、381-405.

Quiazon, K. M., K. Ogawa and T. Yoshinaga (2006): Taxonomical studies on philometrid nematodes infecting marine fishes of Japan.
平成18年度日本水産学会大会講演要旨集、高知大学、p. 88.

(写真提供者:カール・マルクス・キアゾン)

または

ブラウザの「戻る」で前頁へ

写真2.卵巣内で激しい宿主反応により基質化し、死滅した虫体

写真1.マダイ生殖腺内に寄生するPhilometra sp.