寄生虫名 Rhadinorhynchus selkirki (ラジノリンクス)
分類学 鉤頭動物門、古鉤頭虫綱、鉤頭虫目
宿主名 サンマ(Cololabis saira
寄生部位 腸管内
肉眼所見 通常、外観的な異常はないが、虫体の一部が肛門から体外に出て見られることもある。剖検的には、オレンジ色の細長い虫が観察できる(写真1)
寄生虫学 虫体は円柱状で長さ2-3 cm、吻部、頸部および胴部からなる。宿主の腸管組織に吻部から頸部までを穿入させて寄生し、体表から栄養を吸収する。吻には多数の鉤を備えるが、胴部にも棘を有する(写真2)。雌雄異体。虫卵は中間宿主(甲殻類)の中で孵化、成長し、被嚢した幼虫(シストアカンス)となる。
病理学 病害性は低いとされるが、詳細に調べられてはいない。
人体に対する影響 魚類を終宿主とするので、人間には寄生しない。
診断法 虫体のオレンジ色の外観により推定診断できるが、顕微鏡により吻の形態を確認したほうがよい。虫体を取り出してスライドグラス上に乗せ、カバーグラスをかけて圧平すると、吻部の特徴的な構造が観察できる。
その他の情報 サンマにはかなり一般的にいる寄生虫であるが、サンマは内臓も食するため、クレームがつく場合がある。サンマにはR. selkirki、カツオやサバにはR. katsuwonisが多い。

(写真提供:小川和夫)

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写真2.ラジノリンクスの虫体。吻と胴部の棘が観察できる。

写真1.サンマの内臓にみられたラジノリンクス(矢印)。