寄生虫名 Sarcotaces sp.(ツブムシ類)
分類学 節足動物門、カイアシ亜綱、ツブムシ目
宿主名 トカゲエソ(Saurida elongata
寄生部位 頭部の皮下組織
肉眼所見 寄生部位は主に頭吻部および口腔の皮下で、患部には大きさ約5-6×11-14 mmでラグビーボール状の白いこぶが生じる(写真1)。
寄生虫学 こぶの中には、大きさ約5×11-14 mmの雌と、全長1.2-1.4 mmの雄が入っている。雌は、一端が尖った棍棒状で、もう一方の端近くにはリング状の取っ手のような構造物がある。体色は乳白色で、体表一面に袋状の突起物を有している(写真2)。雄は矢のような形をしており、固着用の付属肢や頭部のアンテナ、尾部の突起といったカイアシ類の特徴を備えている点で雌と異なる(写真3)。通常、こぶの中には一対の雄雌が入っているとされるが、雄が最大で4個体入っていた例も報告されている(桃山・天社, 2006)。
病理学 未報告
人体に対する影響 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。
診断法 こぶの中から虫体を取り出して観察する。
その他の情報 なし
参考文献 桃山和夫・天社こずえ (2006): 山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常. 山口県水産研究センター研究報告第4, 143-161.

(写真提供者:天社こずえ・桃山和夫)

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写真3.Sarcotacesのオスの虫体

写真2.「こぶ」から取り出したメスの虫体

写真1.トカゲエソの頭部に寄生したSarcotaces
(矢印)